あ、いけない。
他人の人生に立ち入ることはいけないことだ。

手相の封印です。
20代半ば、このとき以来、わたしは「占い修行」を奥深くしまい込みまし
た。

復活したのはある若い女性占い師Tさんと出会ったことにあります。
ときおり、わたしは彼女の派遣占い師のお手伝いをしたりして、
徐々に占い師としての再スタートをしておりました。

30才でした。
わたしは手相の学習を復活させ、自分なりの持論を形成するよう
努めました。
わたしは経済雑誌の記者として就職しておりましたが、編集長から社長とな
り、
結局、占い師になりました。
60才のリスタートです。

知り合いがわたしに「あるひとと一緒じゃないか」と云いました。
東京の経済紙『K』のS主幹のことです。
でもS主幹の場合は逆です。
若いころに占い師をしていて、のちに経済誌を立ち上げた立志伝中の人物で
す。

わたしは経済記者のかたわら門脇尚平師の手相術に傾倒しておりました。
しかし、このころのわたしは「手相好きの経済記者」でしかありません。
たとえ30年間学んだにせよ、それは趣味の領域です。
たとえどれだけ研鑽を重ねようとも、です。

わたしが師と仰ぐひとのひとりTさんから
名古屋の地下での街占いの機会を与えてもらい、
「Mr.ハットリ」の易者名ももらいました。

爾来、10年弱。
穴ぼこだらけのわたしの60年の人生には、
さらに10年の穴あきだらけの道がつながりました。
振り返れば、
やっと「穴あき通りの占い師」として立てたかな、と思います。


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