【a_talk-episode 13】
・・・ 三の丸界隈 ・・・ | |||||||||||||||||||||
微睡みの夢の中で『三の丸界隈』に佇んでいた。その情景はまだ朝が目覚める前の、どことなく薄暗い感じの生けるものがまだ目覚める前の情景を思い、惑わされながら浮かんでいるような感じであった。2013年1月1日、僕はそれを確かめるべく名古屋市中区三の丸へ、その日の朝まだ日が昇る前にそこへ向かっていた。
常に人の行き交いがあるこの名古屋の政治的中枢や行政の執行機関が集まるこの場所で、ほとんど人っ子一人見かけないこの時空間。その建物を眺めながら、その建物から発せられる文化財的重厚感と静寂さ、そこにはまるで別の生き物が、生きているように感じ惑わされられるような時間であった。近づけば近づくほど、その迫力に圧倒されそうである。日常であれば多くのスタッフ等でごった返している建物の中は、窺い知る事が出来ないが、電灯の明かり一つも点いていない窓の景観、厳かに閉じられた、重厚感のある出入口の扉、日常と違った面が色々と現れてくるのを見て、感慨深い思いをし、眺めた。そう、これらの建物は名古屋市役所本庁舎であり、愛知県庁本庁舎なのである。
今更説明する必要はないとは思うが、少しこれらの建物等の歴史を紐解いておこう。これらの建物は、資料によると昭和初期に昭和天皇即位の記念行事として建てられ、その独特の建築手法等で目を見張るものが有ると賞され、現在は、有形文化財としても登録されているそうである。 朝の惑わさせる時間の中で、これらを見ると昼間では見えない感動を覚えるのである。 また、これらの建物ばかりではなく、その空間としての『三の丸界隈』は色々な表情を見せてくれるのである。その一つは、三の丸の中に1本の大通りがある。行政等の三権の出先執行機関や、市や県の執行機関の集まっているビル群である。西の方から東の方へ、その道路の中心部からそれらビル群と、その向うにある市役所本庁舎、愛知県庁本庁舎等を眺めると、朝の惑わさせる空間の中で、生きたもの達の息吹が感じ聞えるのである。
この『三の丸界隈』にはまだまだ目を見張る建物がある。それは市役所等から清水橋を渡り、東の方へ歩むと、そこには大正時代に建てられた旧名古屋控訴院地方裁判所区裁判所を利用した名古屋市市政資料館の建物が現れてくる。大正時代の色彩豊かな建築様式といい、その建物の壁等に施されている彫刻やその他のオブジェ等、朝の惑わされる空間の中で、この建物に、周辺の木々の間から朝日の射す風景は、その重厚な趣、美的な容姿に心惑わされ、まるで生きているもののように見え、ただ驚嘆するのみであった。いつも見慣れているであろうこれらの『三の丸界隈』時空間をずらせば、また違った表情を見せてくる。
この『三の丸界隈』には、やはり名古屋城も含まれる。以前お邪魔したのだが、今回も、惑わされる時空間の中で尋ねてみた。やはりここでも、城の建物、城を彩る木々、お堀の水等生けるものが朝日を浴びて、その陰影が、惑わされる時間帯でのその情景を演出していた。
これで微睡みの旅も終わるが、最後に一つだけ現実も戻って気になる事があった。それはデジタル化の世の中になって、色々なところで日本人が苦労をさせられている。この『三の丸界隈』から見えた感覚は、日本人が幸せになる行動(グローバルでは絶対無いもの・・・。)が生まれればよいのだけれど、と・・・。 Photographer 岡田 朗 |
Copyrightc2006 Akira Okada. All Right Reserued
上記の無断掲載、再配布は固く禁じます。