【a_talk-episode 16】
・・・のどかなり、長良川河口堰・・・ | |||||||||||||||||
ある晴れわたった温かな日差しが差し込む季節、ふと思い立って、長良川の文字通り河口に位置する巨大な建築物、長良川河口堰を間近で見たくなり尋ねてみる事にした。
そうそう、これが建設されてから約20年が経ったのだと思い、どの様に自然環境と関わっているのか、興味もそそられた。そう、この長良川は岐阜県郡上市の大日岳からその源を発し(資料参照)、この長良川河口堰で、約166qの長旅を終える。この長良川河口堰は、昭和46年度に三重県の長島町に建築が着手され、平成6年頃に堰の本体工事が完成されたと聞く。ただ、この本体工事完成までには、色々と自然環境問題等紆余曲折の歴史があったようである。この歴史でふと思ったのだが揖斐川、長良川、木曽川等が合流するこの三重県桑名市長島付近の海抜0m地域は、江戸時代等度々洪水等水害をもたらし、江戸時代初期に幕府が薩摩藩に命じ洪水対策等の為、木曽川の尾張方に御囲堤という延々50qに及ぶ大堤防が作られたそうで、また、その後、明治時代にも国家予算の約12%に相当する費用を投じた河川改修工事が行われたとも聞く。そしてようやく、この明治時代の河川改修工事により、現在の三川の形に成ったのだと…。
ここでふと思うのだが、それは長良川の自然環境に対する昨今の色々と取上げられた問題の事であるが、もともとの自然は、治水の為等の色々な工事で、もうとっくに無くなっていたのではと…。河口堰の出来る前の自然環境というのは、治水という名のもと、人間の手が加えられ、形を変えながら形成され、その人工的に作られた環境の中から、その恩恵を単に受けていたに過ぎなかったのではと…。
実際、この河口堰の前に立ち、その両側の川面を見ても全く同じ水しか見えてこないのである。その治水の歴史が物語るように…。極端な言い方ではあるが、これは諫早湾のギロチン的な堰ではないと感じたのである。実際、川は流れており魚道もある。長良川河口堰の上流や下流で、その生き物たちが生きているのである。実際この目で見た事はないが、この長良川河口にはヤマトシジミやサツキマス、カジカ等の生き物が生息していると、長良川河口堰のインフォーメーションパンフレットには記載が有り、自然環境は、その場の環境に合わせ治癒するのであるのではないかと、感じる事が出来た水の光景であった。
江戸時代等から幾度の改修が行われたにも関わらず、そこには立派に生き物が生息しているのが、その証ではないかと感じる。
…と能書きを少し垂れてみたが、この長良川河口堰運用をされてから約20年が経つようでは有るが、今でも見劣りのしない、中々迫力のある風景がそこにはあるように感じる。この河口堰の上に立つと囂々と音を立てて流れる川の水。また、魚道等の静寂な水の流れ。相反する水の流れがそこにある。また河口堰本体の丸みを帯びた建物の表情の面白さと、迫力。この約600mある堰を構成している建物は、威風堂々として川面に写り、その情景は澄んだ立体感をかもし出すのである。また、この上を歩いてみると、天気が良ければ少し汗はかくけれど、中々気分爽快である。
この堰を渡りきって揖斐川との間に着くと、そこには小さいながらも公園も作られている。しっかり自然環境は守られているのである。この場所では、自然観察をしている数人がおられ、迫力のある望遠レンズを備えたカメラを持った写真愛好家等を見かけるのである。珍しい水鳥等監察しているのかも知れない。
この長い年月の間、地域との共存共栄をはかり、地域に溶け込んだ風景を醸し出し生きている雄姿を見て取れるのである。色々な情報に振回されず一度は行ってみて堪能する価値があるのかもしれない。長閑(のどか)なり長良川河口堰。この情景を目に納めながら長良川を少し下り長島リゾートの方へと向かった。 Photographer 岡田 朗 |
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