【a_talk-episode 26】
・・・鶴舞公園・・・ | |||||||||||||||||||||
ざわめきの中、かすかな自然の息吹が聞える。象徴的な建物等の踊って生まれてくる姿が今そこに迫ってくるようだ。人々の脳裏に刻まれるこの情景は、心の奥深く何処かしら哀愁を帯ながら迫ってくる。そう、ここ鶴舞公園は名古屋市昭和区鶴舞1丁目に位置し、ここは明治時代(明治42年・西暦1909年)に名古屋で最初に整備された都市公園として開設されたと聞く。(敷地面積は23.7ha)この公園の開設は、この時代の名古屋の新堀川整備に関わる土砂の捨て場所として、当時沼地だったこの鶴舞(元々は水流間と言う地名だそうである。)に土砂を埋める一石二鳥を狙った公共事業と、博覧会開催の目的の為だったと聞く。
この公園には当初には動物園や図書館等が順次整備され、また昭和初期には名古屋市公会堂も建てられた。因みに鶴舞公園に動物園が有った場所等は定かではないが、その動物園は、その後この鶴舞から東山に移され、そう今の東山動植物園の前身が鶴舞で誕生し、現在は東山動植物園として東山に存在している。 今、まさに訪ねている鶴舞公園の主な建物はこの時代に建てられた名古屋市公会堂や噴水塔などの洋風建築などで、目を引きつけさせられる建築様式等芸術性が高いものとお聞きする。人々に対して語りかけるその情景はまるで生きているように錯覚さえ覚えるのである。
今回鶴舞公園を訪ねたのも、これら建物や施設に息吹いているものと対話をする為に訪れてみた。 先ずは名古屋市公会堂である、1930年(昭和初期)に建てられたこの建物は、やはり年代を感じさせる哀愁を醸し出しており、タイル貼りをされた建物の外壁等そのパーツパーツがそれぞれに妙に主張しており、そこかしこに絵になるパーツがあるのである。外部も歴史を感じる建物であるが内部の造も何となくノスタルジーを感じさせる仕様が施されている。照明や観客席のレイアウトやその椅子、レトロな感覚で何となく心が落着くのである。次は噴水塔等屋外に建てられた個々の建造物を見てみた。そこにも歴史的に古い洋風建築がそこはかとなく主張しているのである。建物の造形の面白さが周りの風景を取り込んで妙に面白い主張をしているのである。鶴舞公園泰楽堂然り、明治43年に著名な建築家によって建てられ戦火や台風等で被害にあったものの平成9年に最終的な復元がなされ今にある。この泰楽堂も建物全体が一つの芸術性を高めたものでもあるがその屋根や柱、それらに施されたオブジェも素晴らしい芸術性を持ったものである。この泰楽堂と同じ設計者で同じ時期に建てられた噴水塔、これも泰楽堂同様の洋風建築で織成されており、心に響く心地良い調べが聞えてきそうな建物である。中々この国では古き良き物を残すという習慣がないのか古き良き街並等を破壊しドンドンと無機質な高層ビル等が立ち並ぶビル群が乱舞する。アメリカではなくヨーロッパみたいな古き良き建物等残され人々の心を暖かく見守ってくれる環境が必要なのではないかと思った時、この鶴舞公園はその心を満足させて頂けるには十分な環境が揃っている。
この大都会の中で温故知新でもないけれど一抹の涼風を得る為にこの鶴舞公園を訪ねてみては如何か…。昨今、日本人としての人と人との関わり方の冷たさを、もう一度温かい心で人と人が関われるよう見直せれる心を少しでも感じられる場所ではないだろうか…。 古き良き日本を訪ねて新しき良き日本を模索しようではないか。グローバルではない世界で…。 Photographer 岡田 朗
|
Copyrightc2006 Akira Okada. All Right Reserued
上記の無断掲載、再配布は固く禁じます。