【a_talk-episode 29】

・・・1989年開催の世界デザイン博、白鳥会場を訪ねて・・・

 追憶の中のスクリーンに映し出される情景を思い浮かべ、僕はこの地に舞い戻ってきた。そう、今は名古屋市の都市公園「白鳥公園」、1989年に開催された世界デザイン博覧会(以後デザイン博)白鳥会場である。


 ここで少し白鳥公園について紐解いてみると、所在は名古屋市の熱田区熱田西町(前白鳥貯木場)に位置し、名古屋国際会議場とその南広場、白鳥庭園、旗屋町の街区公園、白鳥御陵古墳公園等で構成されていると聞く。

 名古屋国際会議場とその南広場はかって林野庁の白鳥貯木場および国鉄白鳥駅が有った場所で、名古屋市がその広大な土地等を取得したそうである。そしてこの名古屋国際会議場付近のオアシス広場には想像の柱等オブジェが所狭しと設置されている。



 ところで少し余談になるが、この名古屋国際会議場なる建物(税金等でたてられた公共の建造物)が世界デザイン博の時に建てられ、その白鳥会場の中心的な建物であったので少し懐かしくもあり思い描き覗いてみようと中に入って見学していると、どこからともなくマスクをした警備員(警備員がマスクを掛けたままで一般市民に対しての声かけ対応を良しとする警備会社のモラルは如何なものか…。)に呼止められ「この場は立入り禁止です。」と言われ、その建物内での共用部分と思われる上階へのエスカレーター、上階エントランス等の渡り廊下、その通路等の立入りを咎められた。
(極端に言えばそれらの足下に掲示されていた立入り禁止なる表示が見えないのかと…。あっ「禁止」ではなく「お願い」か…。そして見たいなら一階のこの建物の管理事務所で許可を取れと…。単に共用部分から中庭等を鑑賞したいだけなのにである。個々の部屋にはプライバシーなどの管理権があるとは思うが税金等で造られた建造物である。その主権者たる国民が見学する権利は常にあると思うのだが・・・。)

 上階のエントランスや渡り廊下から中庭に設置されているデザイン博で設置されたローマ時代と思われる馬に乗った兵士の象を鑑賞したかった、ただそれだけだったのにである。この名古屋国際会議場は確かにデザイン博で造られた公共の建物であるとみる。名古屋市民や愛知県民の公共部分と認識していたエントランス並びにその通路(階段、エスカレーター等)に関して国際会議場占有利用者(許可を取った者と管理者)等が通行する事は問題ないが一般(その主権者たる名古屋市民等)が入る事を規制しているのである。デザイン博は名古屋市民や愛知県民等が力を合わせて賄ったものと認識していたが、いつの間にかその共有者たる市県民等々からはかけ離れて固有のルールが出来ているみたいである。

 と少し脱線した事も歪めないが、この白鳥公園は名古屋の堀川沿いにあり、風光明媚に優れており一般市民の憩いの場に成っていることは紛れもない事である。


 このデザイン博会場跡を散策していると幾つもの面白いものに出くわす。それは子供の遊技施設やサイン、堀川に跨る橋、運河と空と広大な敷地との絶妙に混じり合ったその空間、そして堀川を渡り熱田球場や街区画公園の旗屋町等を散策するのも一興であると思う。デザイン博で設置されたオブジェ等、ふとした場所で見る事が出来るのも心を和ませる。


 ところで、七里の渡しの宮宿でも思ったのだが折角の堀川の水辺の風景があるにも関わらず遊覧船が無い事である。船着場も有るみたいなので今こそ箱物ではなく市県民等人の力(アイディアや心のコミュニケーション等)で復活出来ればなと期待する。名古屋の街にはまだまだ市民と戯れる事の出来る自然な空間がそこはかとなくある。これらを箱物で利用するのではなく市民等の心で利用する事を考えるべきである。

 色々な意味も含め期待する。
Photographer 岡田 朗




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