【a_talk-episode 31】

・・・稲沢市大塚性海寺歴史公園を訪ねて・・・

 朝霧の靄の中、その雲海から突然に現れた紫陽花の花が咲き乱れた寺院が現れた。そう、ここは愛知県稲沢市大塚南一丁目33にある大塚性海寺歴史公園・性海寺である。


 このお寺は紫陽花で有名な様で、そのお祭りが1992年より毎年この時期(61日〜15日)の行われているようである。それはさておき、この性海寺は多くの文化財が残っているのでも有名なお寺だそうで、そこには平安時代、室町時代等に建てられた多宝塔やら本堂、宝塔等そこには歴史が存在する。そして本堂に祀られているのは善光寺式阿弥陀三尊像が祀られていると聞き、よく本堂を見ると善光寺という名前が掲げられているではないか。

 ここ
1年くらいに長野の「善光寺」へ2回ほどお邪魔したが、ここ稲沢にも「善光寺」が存在した。それも平安時代からである。凄い年月であるにも関わらずふと訪れた所が、これまた「善光寺」であった。心の片隅でどこかしらの因縁を感じさせられる思いがした。



 この場所で紫陽花の栽培をし、それを主役として紫陽花祭りを開催するに到ったのは今から22年前位だったようである。ここの公園の紫陽花は性海寺の本堂、宝塔、多宝塔、鐘撞き堂等の建物をぐるっと取囲むように栽培されており、その種類は90種類に及ぶと聞く。

 この場所は大塚古墳から成る庭園風のレイアウトが施されており、そこには小さいながらも池があり、それに架かる橋もあり、それから紫陽花庭園を見やすくする為のレイアウトが施されている通路もある。


 また、この公園のシンボルでもある大塚古墳は円墳で高さが約5m、直径40mと聞く。さほど高くは無いのだが、この円墳には歩道が作られておりその頂上から紫陽花を含め本堂等を眺めると、そこはもう稲沢市ではなく、どこか遠くの観光地に来たみたいな感覚にとらわれる。

 それにしても紫陽花の種類が多いのは驚かせさせられる。今まで見てきた紫陽花とは全く違った形状や色で、紫陽花が咲き誇っている姿を観賞しながら庭園を散策するのはとても気持ちのよい時間を共有することが出来たのではないかと、心から感じる次第である。

 ただ、ここの紫陽花について1点。インターネットの文面で『「ピンクダイヤモンド」なる紫陽花の花の色はピンクだと思うのだが、そこに咲いていた紫陽花の花の色はどう見てもブルーに見えた。』というコメントがあり、その次の文面で紫陽花の色というのは、そこの土壌に左右されやすく、幾らピンク色の紫陽花と云ってもブルー色になってしまうことと、人間としての才能の発揮についても、その土壌という要素に大いに左右されると言うことが唱ってあった。なるほどである。


 ただ、本日は快晴である。気分上々で散策にいそしんだ。それから紫陽花以外で自分が感じた事から1点。この歴史のある性海寺及びその周辺には稲沢市の田園が広がっており、人々が昔ながらの生活の営みを繰り返し送っているその中で、まるで時間が止ってしまっているような錯覚を覚える平安時代や室町時代の建物が、ごく普通に整然と残っているその風景、ある意味凄いことかも知れないが、要は都市化の波が押し寄せていないのである。


 稲沢市の市街か区域と調整区域の比率を見ると一目瞭然であると聞く。昔ながらの因襲を引き摺っている街、それが稲沢市ではないのかと、反面(歴史を重んじ古き良きものを大事に残すこと)に感じた次第である。

 ただ、それらの気持ちを吹き払うような紫陽花の花が乱舞しているその光景はやはり人の心を和ませる。約901万株という花が咲き乱れる紫陽花公園と古墳、歴史ある寺院等の建物とのコラボは人の心を圧倒する。名古屋という都会からすぐ近くの地域でこれほどの紫陽花公園等が有るということを思い、やはり一度は訪ねるべきものではないと感じた次第である。ただもう紫陽花は来年までお預けではあるが…。 Photographer 岡田 朗





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