【a_talk-episode 47】

・・・三河湾に浮かぶアートな島、佐久島探訪・・・

 陽だまりの中、ゆらりゆらり、そしてキラキラ輝く波に揺られながらふと気がつくと、そこは太陽が照りつける海の中のある島にいた。そうここは三河湾の中に存在する有人島の一つでアートのある島と言われている佐久島である。


 そして、この島へ渡るには西尾市の一色港渡船場を利用し、市営渡船で20分かけて島に渡る。その住所は西尾市一色町佐久島だそうである。この佐久島以外の有人島で三河湾内には「たこ」「ふぐ」等食べ物で有名な日間賀島、砂浜が綺麗で風光明媚な篠島が存在する。ただ、ここはこれら二つの島にはないアートな作品が点在するアートな島なのである。


 元々、島には産業として漁業等が有ったのだが島内の人口減少が甚だしくなり、最大で約1,800人近く暮らしていた人々が、今や高齢者約45パーセント含む約270人位になってしまったそうである。これら人口減を改善すべく立ち上がったのが、平成7年の国土庁(現在の国土交通省)の視察がきっかけに成ってからアートを軸とした町おこしの計画が始まったそうである。(町おこしとアートの関係は?ではあるが・・・。)

 そのアートという作品を見たくてこの島を散策した。島の周囲約11キロというウォーキングにはちょうど良い距離であり、ましてや宝探しをして歩くのであるから時間の流れもちょうど良い一時を過ごした。そして、これらのアート作品を順序良く観られる「佐久島アート・ピクニック」なるスタンプラリー企画(リーフレット等)が施されており、今回のアート作品の中で以前より観光ポスター等宣伝によく使われている「おひるねハウス」なるものを、このリーフレット等のツールを利用し尋ねてみた。ただ目的の作品も含め、この島のアートな作品が約20点あり、それを見ながらスタンプを押し、目的の場所まで進むルートを思考し、そのリーフレットの地図を頼りに家並みや、それに達するまでの色々なアート作品も含め尋ねるルートを選択した。


 この島には西港に降立ったので、先ずは西集落から散策して見る事にした。まず目に入るのは建屋で、コールタールで黒塗りされた壁等が整然と連なっており、通称「三河湾の黒真珠」とも言われているようで、黒壁集落の風景が目の前に広がっていた。その感動を心にとめ東に向かって集落を抜けると、間もなく海岸に出る。その海岸にかの有名な「おひるねハウス」なる作品が存在した。サイコロのような四角い形をして黒く塗られたその中は九つのトンネルがあり、その中に寝そべるとその先から広大な海が眺められる作品になっている。余談ではあるが、この作品は劇場版の名探偵コナンでも使用されたシチュエーションが有るそうである。


 少しのんびりとした時間の共有が出来るこの「おひるねハウス」も、長年の経過で作品の劣化が進み、今回尋ねた時は再制作されたものであると聞かされた。ただ、海岸に佇むこの作品はとても心が温まる情景を奏でていた。


 これらの作品をみながら散策をしていると一つ気になる事があった。それは折角のアートな作品であるのだから、アートのそのものが一部で埃りが被っていたり、所々で禿げていたり、はたまたその作品の近くにあるもの等がかなり痛んでいたり等朽果てた姿は、時々見苦しくなるのも事実である。平成8年位からアートによる島おこしに取り組まれているので、仕方がない事なのかもしれないが、日々の手入れ等、もう少し作品と家並みが綺麗に見えるよう努力を怠らないようにするのも、工夫の一つかもしれない。

「祭りとアートに出会う島」と言うキャッチコピーがあり、平成13年度から「祭りとアート」をキーワードに年間を通して様々なイベントをされているのであるから尚更である。


 この日も平日で週の半ばで有るにも関わらず、このアート作品を観るべく多くの観光客が訪れていた。(本当に若い女性グループと若いカップルが多いのには驚いた。)海釣り公園もあるので釣り客も居たのではあるが、その比率ははるかに凌いでいた。一日のんびりと陽だまりの樹で過ごすのも一考かも・・・。ただ、少しの体力は必要かも・・・。ほんとに心温まる良い島である。   Photographer 岡田 朗





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