【a_talk-episode 59】

・・・中津川「木育」・「考」その1・・・

 縁は何処でどの様に繋がっているのは分からないものである。今回は今までに何回か登場して頂いている栗谷本先生からの紹介で、その栗谷本先生が主体となって行っている「木育」という講座を覗いてみた。

 食育という言葉は、普段忘れ去られている食材を改めて感じ食をもう一度見直してもらいたい為に出来た言葉のようで、この「木育」という言葉は平成
16年に北海道で生まれ、食育と同じように自然環境を再発見する為の一つの手段としてもうけられた言葉のようである。


 そして木育とはと言う言葉を尋ねて今回は中津川市の小学校を訪ねた。

 いまこの町で主体的に木育活動を行っているのが中津川市生活環境部環境政策課(五本の柱、基本計画の人づくりに関わることの一つとして・・・)の方々と中津川市自然環境団体等連絡会議だそうで、これら自然に親しむ事をコンセプトにし、エコツーリズム(リング)、ワークショップ、木工教室等のグループが約
30団体もあるそうである。

 ところでこの木育とは何に役に立つかというと、これは岐阜の木育(主に幼児教育では有るが・・・)、
5つの力と言う文面で示されているようである。先ずは1、樹と木のつながりを感じる力、2、ものを大切にする心、3、工夫する力、4、根気とやる気、5、協力する心と気遣う心だそうである。これらがどの様に生かさせているのか覗き見てみた。


 今回はこの町で初めての試みである小学生を対象とした講習会が開催された。中津川市西小学校の母親委員会主催で、親子で木育成るものを体験しようというものらしいイベントが開かれた。このイベント等のカリキュラムに関わられたのは、岐阜県美濃市にある森林アカデミーの先生で、色々と考案され施されたそうである。これらを基にし、今回の制作物はスプーンで有った。その原材料は朴木であり約
60名参加の親子がその朴木からスプーンの長さに裁断された原木から、ある程度スプーンの形まで削られたものを最終工程で黙々と制作に精を出すのである。親子が協力をしながら最初の工程である粗めのサンドペーパーを使用し、それを削りだし、より良い形のスプーンに仕上げ、又、その次にはより細かいサンドペーパーを使いスベスベに成るまでその行程が何度か繰り返し行われ、それが完成したと思えば次の行程に移る前に栗谷本先生やインストラクターの方にその形状等確認してもらい、OKが出ると次の行程に移るのである。綺麗に成ったスプーンを軽く水洗いをし、ドライヤーで乾かし、そしてそのスプーンに自分の名前やイラスト等の絵を電気の小手で焼き付けるのである。そして最後の行程がエゴマ油をそのスプーンに塗り艶出しと防水の為に役立てるのである。そして乾燥したら出来上がりである。


 今回使用した朴木は軽く堅く加工がしやすく、ササクレが出来にくい素材だそうで、小さい子供でも形を簡単に作れる工夫がされているのである。そして子供達は、やはり自分で作ったものには愛着が沸き大事にするそうで制作後の試食タイムでも満足そうに、そして美味しそうにその食材を食していた光景が微笑ましく記憶に残るものでもあった。


 この木育に付いては忘れてはならないのは税金の存在である。岐阜県はその全域の約
81%は森林でありそこから自然環境を大事にしなければと思う心が生まれ、そしてそこから「清流の国ぎふ森林・環境税」なるものの税金が設けられ県民自ら森林を大切にしていこうという機運が高まっているのである。中津川ではこの税金により今回のような住民サービスの一環として自然に関する色々な取組みが施されると聞く。保育園や幼稚園の幼児については山のことや木のことを体験してもらえるようなカリキュラムを考え、小学生には川のことやその流域のこと、海のことから地球のことに発展し物事を考え体験してもらえるようなカリキュラムが考えられているそうである。

 これから保育園の取材も始まるがこの税金がどの様にその地域の方達に生かされていくのか見届けたい気持ちでもある。
Photographer 岡田 朗






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