【a_talk-episode 9】

・・・県営名古屋空港ロケ・・・
 ふと空を見上げた。そこにはオレンジ色に輝く小型の旅客機が空に浮いていた。そう、ここは県営名古屋空港だ。以前の号で、セントレア(中部国際空港)を訪ねてから早半年が過ぎたが、今回はこちらの空港を訪ねることにした。それと言うのも、以前はこの県営名古屋空港が名古屋地区の空への表玄関であって、日本国内はもとより海外にも多くの航空路線を持っており、それは盛況であった点を思い出したに他ならないからである。筆者も自らこの空港を利用し、日本国内は元より海外へ飛び立つ空の玄関として多く利用させて頂いた記憶がよみがえる。


 ここで県営名古屋空港の位置等、予備知識をお話ししよう。名古屋市の北部に位置する豊山町地内にその空港は位置し、飛行場の面積は約171haで、民間空港としては特別に航空自衛隊小牧基地と共同で運用している。その為、今は自衛隊用の飛行場と言っても過言はないように、自衛隊機が多く見かける。この県営名古屋空港を訪ねるに当たり、まず最初に訪れたのは、この飛行場に隣接する公園『エアーフロント』である。ここから見る飛行機の離発着は、迫力があり絵になる。ただ如何せん、昔と比べて飛行機の機体が小さいので、迫力的には少々見劣りする感が歪めない。しかしこの光景(離着陸体制)はセントレアにはない迫力を演出する。


 少し探索をした後で、次に県営名古屋空港の建物に向かった。やはり昔の面影は建物の外観だけであり、内部はかなり変わり、一社しか航空会社が入っていないので、その規模もかなり縮小を余儀なくされているようである。出発到着が一階に集約されており、そこに設置されている掲示板を見ても寂しいものである。(失礼だが絵にならないのである。)



 そして次に、この空港の建物から滑走路を見てやろうと思い、建物の3階にある送迎デッキに登り見渡してみた。エプロンと称される場所には小さなボーディング・ブリッジが施されていた。そして滑走路を見ると、自衛隊機の離発着訓練が行われていると思われるような光景が、そこには広がっていた。そしてそこには給油機等、数々の自衛隊機が横たわっていた。(惜しみなくはその機体が日本製であれば嬉しいのだが・・・。全てアメリカ製か・・・。)送迎デッキで少し待っていると、ようやく一機着陸態勢に入っている民間機を確認することが出来た。一時間程度待ってたった一機である。何と言う寂しさか・・・。しかも小型の旅客機である。これで採算がとれるのかと思いきや、聞くところによると県営名古屋空港は黒字経営だそうである。立派。また、空港ターミナルに掛かっていた看板の古さは以前からの空港ターミナルを使っており、また空港の敷地の中には、以前国際線ターミナルだった建物を、ショッピングモールに変える等、目に見える努力は伺えるのだが、如何せん民間飛行機の発着数が少ないのである。


 空港の命は空を飛べる道具の生き生きした姿を見せる場である。せっかく三菱重工航空機事業部も有るのだから航空博物館等、もう少し集客できるものを考えるべきではないかと思う。日本の国民を守る為の航空自衛隊小牧基地だけのためではなく、民間との共存共栄を目指して、色々と試行錯誤して頂きたい。


 これは余談だが、送迎デッキでカメラを構え、到着した飛行機を撮影していたら、手すりの所にバッタがとまっているのを発見した。妙に飛行機との対比が面白く感じ、シャッターを切ってしまった。如何にも長閑であるである。今の県営名古屋空港を物語っているかも・・・。

 最後に県営名古屋空港は、セントレアと違って慌ただしい空気は流れていない。ゆったりとした時間の中で、自分自身を見つめ直す時や、今と昔の名古屋空港の盛衰を対峙しながら、その時間の流れを享受したい時などもってこいの場所かもしれない。Photographer 岡田 朗


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