【a_talk-episode 62】

 ・・・2017年の干支作りへ・・・
  寒さも日増しに厳しくなってきた12月のとある日に中津川市の夢工房、栗谷本先生のアトリエ、栗くり工房を訪ねた。


 ここ数年、年末に伺っては来年用の干支作りをさせて頂いている。そして今回は鶏のオブジェである。


 多彩な森からの贈物を駆使して作るのである。そして先生曰く、来年の運気の向上もここから始まると言って過言がないと言われ、また、今回のオブジェを作るに当たったその材料集めはその年の春先から集め始められるそうで、(それでないと年の瀬のオブジェ作りに間に合わないそうである。)そして参加者は心のこもったオブジェを制作するのである。


 先ずは先生が見本として作ったオブジェを眺め参考に制作を進めるのだが、先ずは、そのオブジェを象っている素材と成るものから少し語ろう。

 鶏の体になるのは大小の松毬やそこにモミジバフウの実を加えたり、ピスタチオの実、やしゃぶしの実、大豆、鶏の尾っぽには高砂百合の種が抜けた殻だけを使用し作り上げるのである。また、鶏の他にもその台と成る白木があり、そして鶏の後ろに鎮座する藁の俵(赤米の藁を約
5pの直径で束ね、高さも約5p位で揃えて使用)が有り、何に使うかというとそこに謹賀新年等が描かれているオブジェを立て体裁を整える為の土台になるものである。完成までの制作時間は約2時間を使用し、中学生の子から年配者まで老若男女が勤しむのである。


 森からの贈物にはこれらを含め色々なものがある。ピスタチオやモミジバフウ、やしゃぶし、高砂百合の種を包んでいる殻等、普段では聞き慣れない植物等の名前が次から次えと飛び出してくる、それら名前を覚えるのにも一苦労である。そして、それらを駆使して一つのオブジェを作り上げるのである。

 毎回思うが手の細かい作業がつづき、それが集中力を高める事にもなり、また脳の潤滑油にもなるのではないかと思う次第である。実際の作業工程は栗谷本先生のレクチャーを聴きながら、先ずは最初に白木の台に赤米の藁で作った俵をボンド(グルーガン使用)を駆使し取付けるのである。そしてそれが出来上がったら一先ずそれを脇に置き次に鶏の本体を作る作業に移るのである。


 ここからいよいよ手の細かい作業が続き先ずは大小の松毬を使用しオスメスの鶏を作るのである。松毬にモミジバフウとやしゃぶし等を使用し胴体と頭と足を作り、ピスタチオや大豆、高砂百合の実の殻等を使用し口や目や鶏冠やお尻等を制作していくのである。

 そして最後に最初に作った白木の台と赤米の藁の俵が施された所に備え付けるのである。これもまたグルーガンを使ったボンドを使用し自分の思うような見せ方を工夫し台に接着させるのである。また、ある程度出来上がってくるとグルーガンで使用したボンドのはみ出しが目障りになり、それをハンダ鏝で熱を加えながらその部分をなぞると、あら不思議、ボンドが溶けてはみ出していたところや目障りなところが綺麗に拭取られるのである。そしてある程度見栄えがする形に成ったのを確かめる為、それぞれの作品を鑑賞し確認していった。そして最後に土台に作られた俵に松葉や謹賀新年等が施されたオブジェをくっつけて完成させるのである。


 今回の自然体験のさることながら、森からの贈物でもう一つ忘れてはならいのは岐阜での「木育」体験がある。これは自分での体験では無かったのだが、自然との関わりは人間が豊かにさせられると子供達を通じて教わったことでもある。今回の干支作りも然り、栗谷本先生の指導のもと、いかに自然と交わり関わり育む力を有することの大事さを教わったようである。今回の干支作りも自画自賛ではあるが満足のいくものであった。早々に年賀はがきに流用し、喜びを拡散させてしまった。


 街の中で暮していると森や川や海というような自然のことはついつい忘れがちだが時間を取って関わってみることもお勧めする。豊かな人間の心を見つめ直す為にも・・・。

Photographer 岡田 朗



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